その姿を

いくどでも倒れることが出来たし
倒れないことも出来た
そして倒れないものだけが
雨を拒否した橋を渡りながら
どこに向けても届かない歌だけを歌い
そして倒れるものだけが
空を拒否する仰向けの姿勢のまま
きっと慈雨の落下のなかに沈んでいった

なんども繰り返されるように見えたが
しかし一度だけのことだった
倒れないものは倒れないままだったし
倒れたものは倒れたままだった
無限の繰り返しに見えるのは
それを望んだもの自身の姿、街の一角だった

いつでも宙を飛び過ぎて往来する
人、車、自転車、その他の諸々が彼らの横を
彼らのかたわらを埋めようとしている
その空隙が哀しみに変わる前に
きっと夜が来るだろう、その前にと

雨が降るだろう、今夜は
知らない雪に変わりながら朝を待ち
静かに溶けて、もう一度を繰り返している
繰り返しのなかにない繰り返しと
繰り返しの外にある繰り返しと
その間で雨が降るだろう、今夜は

そう予感しながら迎えた夜は
数年前の夜として過ぎながら記憶から遠ざかる
倒れているものは決して人ではない
まして影でもなかったし
倒れていないものも同じだった

いくどでも、いくどでも
繰り返しではない繰り返しを探しながら
倒れることが出来たし、倒れないことも出来た
過去へ向けて、と同時に未来へ向けて
しかし決して現在へ向けて、ではなかった

きっと現在のなかでは
倒れることも倒れないことも出来なかった
そうとしか想えない風が吹き
直ぐに忘れるだろう歌が繰り返し聴こえていた
歌詞のない歌が繰り返されているように
幾度も雨音のように聴こえていたのだ
2014-10-05 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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