戻り夏

秋を追い越した戻り夏が
砂浜で流された涙を、再度、乾かしている
決して乾くことなく想い出に変わる前に
そっと優しく閉じた瞳を想い出しながら
訣別の冷たい朝もやを通り過ぎて

向こうに見える島に鳥が飛んでゆく
白いだけに変わろうとする波頭が
鳥の足に触れて寂しく海に戻ってゆく
砂のなかに半分、あるいは四分の一ほど
様々に突っ込まれたままに夏は
素直に秋に椅子を譲ろうとしているのに
空は、もう秋の空だというのに

熱を持って宙を舞う君の白い足を
無機質な風が持続的に冷やし続けていた
私よりも遠い夏を見つめる瞳を
美しく縁どられた瞼が隠し続けていた

いつも誰かの替りに抱かれながら
身体だけを火照らせて、二人の距離は
加速度的に遠くなっていったが
君の記憶には決して残らない
誰かでしかなかったが

君も誰かの替りでしかなかったのか
封切されたまま中身を知らない封筒を
枯葉のように机に落としながら
秋に追い越される前の夏に戻ろうと
ただ窓の外を眺めていた
2014-10-07 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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