<私たち>の生誕

夢のない夜の峠を越え出ると
私の生誕を知らない詩人の詩集が
無数に、かつ整然と姿勢を正して仰向いて
死も不死も同時に放擲し
きっと違う時代の違う絶望を泳いでいる

そんな切り手じゃ今の時代には通用しないよ
今じゃ百メートル走だって十秒を大きく切っている
あまりに哀しい靄のような影だ
私は夜を呼ぶことも出来ず
ただ愛するだけしか想い付けない

その無力さに呆れたように
うんと昔の詩集たちはてんでバラバラに泳ぎはじめ
世界の絶望はないまぜだ

いつでも生誕前は無限に遠い過去の過去
明日よりも遠い未来から放射する昨日の恋
昨日の恋なら少しは覚えている
温かく柔らかな日差しのなかで古い人と街路を歩き
落葉の数を数えられるだけ数え続け
二筋の涙の流線が交差する瞬間だけ二人で泣いた
そうしてやはり、夜のない峠は下ることがなかった
それは君が生まれる前からそうだよ、と
夜風に似た囁きが過ぎてゆく
2014-10-08 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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