窓枠だけが夕暮を抱いていた

鳥が一羽、幾重にも
無限に重ねられた窓枠たちを
通り過ぎ、通り過ぎ
むしろ窓枠たちが鳥を通り過ぎ
通り過ぎして少しの世界を私は見る

いくばくかの哀しみを帯びたことばが
小さな橋、大きな橋をくぐる河川に
錆びた遺体のように乗って流れている

いくばくかの哀しみが流れを拒否すると
彼らはことばから次第、次第に離れてゆき
ことばの魂が浄化されたように美しい
川面を踊る光のようにまろびて、それは美しい

鳳が静かに水面に降り立って、魂が浄化され
抜け殻になったことばをついばみ
また、幾重にも幾重にも、無限に重ねられた窓枠を
今度は遠方に向かって飛び去ってゆく

代わる代わる鳳は、瞳の色を変え、姿態を変え
しかし、少しだけ覗き得る私を意に介す様子もなく
そっと優しいくちばしをことばに添えるように
さざ波の音に似せてついばみ、咥えて
孤独に暮れる私を置いて、飛び去ってゆく

窓枠だけが夕暮を抱いて私は
手にした鉛筆を眺めながらなにも書かずに
そんな幻想を微かに想い出すのだ
窓枠の向こうに視線を投じながら
窓枠の向こうから訪れる微かな光に照らされながら
2014-10-08 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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