手と手と

悲惨さしか通り過ぎないので殴ろうと想ったのは液晶テレビだったから笑ってしまう。殴っていたら無駄金がまた、必要になっただけのことだった。凍えるように委縮した手を、そっと優しく握れば壊れそうな柔らかさのなかで脈動する一つの命が涸れてゆく。
さぁ、あの夜空を引き裂き手を突っ込んで、内臓の一つも掴みだしてやろう。私たちの、ほとんどすべてを知りながら、ただ空でいられる空の、本当の痛みを、熱い叫びを引き出してあげよう。

君が微笑んでいる、その傍らで身振りを大きくして何かを語っている。強い風が吹いている日は、こんなに近くても声が届かないから、君は。
手紙を送られるのは苦手なのよ、と君の手紙で知った私は、少しだけ考え込んだ。君の手紙を読んでいる時に凭れた石碑の冷たさが背中に残ったままで、手紙を書こうとするとヒヤリとしているよ、とだけ書いたはずだ。

ああ、水平線の向こうに何もなければいいのに、そして地平線の向こうにも。
私たちは世界に置いてかれる孤児だ。
世界は広いけれど、私たち二人すら置き所がないほど、向こうに行ってしまったのだ。
うん、君の手を私は愛している、ただ沈黙だけを頑なに守り続ける、その手を。
寒い夜には君の手に…繋ぐだけで、もう、世界のすべてを見渡せる気がした。
世界のすべてが変わる気がした。
2014-10-10 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補