永遠の君

飽かず永遠のように忘れた日が蘇っては、深い汚れに黒く淀んだ川面をおぼろに漂っている。美しい旋律や清らかな歌声が遠く、川下の橋を渡っている。雲は山の頂きより低きを靡きながら流れ、風は冷たさを含んで遠慮がちに時折にだけ横切っている。
すべての辻を、曲り角を通り過ぎただろう、その日を刻むカレンダーのなかに一滴の完全な水滴が落ちてゆく。

「恨むだろうね…」「どうかしら?」
手持無沙汰が弄ぶ指輪が鈍く光りながら君の不明な表情を探しては映し、空が鈍色で満たされるように祈られた瞬間が、その日となった。君は恨むことなく完全な復讐を遂げたのだ。それは、ほぼ完全な忘却によって。一方的で、暴力的な忘却によって。

君の見たがっていた海を前に立っている。完全なる姿形を維持出来ない永遠の波打際には、君の忘れた貝殻が始原の波に打たれ、波音を抱えて私を待っている。
想い出すのは いつも、ただ一滴の滴だけだというのに、蘇る日には君が立ち上がるのだ。二人して座ったらしい錆びた四足を持つがたついた椅子には、二人の幻影が居座ったままなのだ。
永遠というものがあるのなら、それはきっと、君が与えたすべてのなかにある。
私は、いくつかの街を想い出し、いくつかの陸橋を想い出す。そこにいた、決然とした君の、その表情とともに、碧さが透明さに変わる、そんな夕暮前の不思議な空とともに。
2014-10-11 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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