君の声

空ろな、それでいて激しい寒さに凍える夜には、君の声を傍に置いていってほしい。
たとえ未来が絶望だけに満ちた姿でのみ、一縷の希望としか見えようがない夜には。惨めな情けなさに微風さえもが避けて通る片隅とも言えぬ片隅に(あらゆる片隅に)、包まる毛布の一枚とてないとしても、だ。
それでも奮う勇気や雄々しさやらのすべてを、この生身や生血を犠牲にしてすら、君の声を求めるだろうから。

残された時間など端からなかったことは知っていたのだ。散る花びらの一枚一枚に重ねるように死んでゆく私らを、その影の薄さを、温かな嘲笑が包み込んで世界は始めて、地平線を持つだろうしね(水平線について…その地平線との違いについては、かつて語ったことがあったろうか?)。

ああ、酷薄な鼓動が私のなかを駆け巡っている。碧さのなかに碧さを重ねた君の声のなかを、深淵を。記憶の水平線を超えて、空に触れるように。
ここに始めて、君への告白のときを見定めているのだ。愛や別れや、恋という名には決して縛られず、血をもってしても語られることのない君への告白のときを。

秒針よりもわずかに遅れながら揺れる廃線脇の名を与えられたことのない一つの花として、その揺らぎを決して風には任せることのない花として。散ることを星に奪われて一つだけ、なお凍ったまま咲き続けさせられている花を引き裂いたときの叫びを聞いたことがあるだろうか。

私は、もう私を維持出来ないで、ぼくに戻ってしまうだろう。
君の前を通り過ぎる影だけを置き残して、私は、ぼくに戻る。
もう永遠に凍り続けるだけのぼくに戻る…のだ
そして、

きみのこえ…

再生の、再生する-
2014-10-11 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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