絶えない風の

換気扇の流れに紫煙を任せていた。

排気口を吹き抜ける風には間断も強弱も訪れず、ただ風音は疲れた風の嘆きのようで私は、
換気扇のスイッチを切る。スイッチを切ればそれだけで、風を殺した気にもなってしまったのだが。

少しは遠くになったように想えた下らない議論に疲れて泣いたことばたちが、
それでもスリガラスを微かに叩いて聴こえない泣き声で誰かを呼んでいる。そこにあるのは冷たくなった椅子が一つで、ずっと月明かりを待っているだけなのに。
そう、月明かりに照らされた椅子を待っているのだね、きっと。それは月並みな感傷なのかもしれないが。

深夜のバイク便の音は冷たいけれど、むしろ季節は夏に近いのだ。

ああ、エアコンから流れ続ける哀しい風も記憶にある。忘れられないような肌触りを探して、
それでも好きになってくれる人、嫌ってしまう人、まったく無関心に知らないままの人、色んな人がいたように聞いている。

今、もう一度、換気扇を回さなくてはならない。絶えない風の、絶えない物語を回し続ける、
その疲れた音を、もう一度

夜に聴かせてあげなくては、ならないのだ。
2014-10-17 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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