疾走の、疾走の

一人の男のリアルな顔には本当の表情がない。

石膏が固まってゆく途上のような時間を与えられ、途中の時間だけを生きている。そこに生気は宿るのかは謎だった。もう一人は女ではあるが、リアルな顔は知らないので想像を与える。しかし本当の表情を持っていると想われた。
あるいは迫りくる鬼気であり、与えずにはいられぬ恐怖であり、そんな女が街を歩くのだ。そんな男と。
流れすら見出せないほどの淀みに沈んだ川の形式を前に、その向こうに男と女と。海が川面を撫でるように波を与えている。

海、そう、海が近い。しかし想い出せもしない。

想い出すのは無数のデス・マスクを押し付けられた美しい砂に満ちた浜辺である。横たわる若い女たちの怠惰な脂肪、欲望を知らぬまま白く佇む男たち、
あどけない子供の、幼児の、抱かれた乳児の泣き声が空に重なる。
そこまで遠く来て季節のことを想い出す。

今は何月だ?

突然、問われ、冬でしょう、地球上のどこかしらは

そう、答えて私は猛然と走りだした
2014-10-18 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補