秋の雨を避け

秋の雨を避けて通っていた。

夏の君を想い浮かべるには、もう少し難しくなっている。久しく恋人のことを語ろうという気持ちにはなっていない気がするから、君のことが頭に浮かんだのは不思議な気がして、
それを想い出に結び付けようとするのは、何か違う気がして、
秋の雨を避けて通っていた。

側溝は、今、降った雨で満たされているだけのはずなのに、と呟きながら懐かしい道の端を歩くと、
煙ったような外景の向こうから一つの陸橋が見えてくる。君の姿を重ねるためにしか覚えていない陸橋が見えてくる。

この雨が繋がらないすべての恋人に疑似化した愛を振り分けながら、むしろ海まで続く側溝を愛した。その側溝を隠す蓋をも愛した。幅寄せした車が側溝の蓋を踏み通るのは耳障りな音、
それでも優しく耳奥に沁み込み続ける秋の雨の音、今の想い出に変わる、この秋の

それは卑怯なことだと私は信じた。
雨に濡れた空港から、いくつもの飛行機が飛び立ち、世界のどこかに着くのだろう、

私は君を喪い続ける秋の雨を避けて通っている。
2014-10-19 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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