この空、空よ

空よ、明るい空よ むしろ鈍色に鋭く尖れ。針のように削られた一本の鉛筆のように、そして君は一片の紙に突き刺さるのだ。

空よ、私は繰り返さないのだ 君の名を。どこかで忘れたまま叫ぶこともあろうが今は、もう忘れてしまったのだから。
そして空よ、私の忘却を傷痕として光るが良い。紅く黒く、もしくは私の好きな透明な紺碧、深い海に、人手の触れ得ぬ深い海に似た色に。深々と私たちの哀しみの降る深き海、その透明な紺碧こそが海である。ならば君も倣うが良い。
この時代の空は奪われてしまった。呼びかけている君は、もはや空の遺児、鳥の引き裂くだけの一つの遺書である。

その下をどこまでも街路は伸びようと気味の悪い生命力に満ち、私たちはヘドロをかき分けるように、それでも街路を歩む。多分、愛していると自らに想い込ませながらベンチも黙って通り過ぎ、寂しい墓地を遥かに見据え。ただ憩いが欲しいだけだというのに、この時代は憩いすら騙されて始めて得られるのだ。我が血をしたらせて、雨に打たれるものも少なくはない。

ああ、だから、せめて鈍色に鋭く尖れと私は祈る。

救いのない、あらゆる教会の屋根を溶融させ、むしろ滅亡の日を今日に与え、
枯葉一枚の舞うなかを、空よ、空よ-
あの人は今日も、涙を噛みながら汗にまみれて働いている
2014-10-21 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

月毎落書

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補