哀しみを遠ざけて、歩く

欠けてゆく月明かりのなかで
きっと濃さを増してゆく、あなたの寂しげな背中に、
私はことばを持たない。

その冷たく硬くこわばった背中に。
どうして、そのような孤独の裡に、あなたが存在しているのか。
私には、もう理解し難くて、ただ笑って欲しいとだけ、昔を必死に探し回る。
手の甲を触れあわせながら歩いた道を、遠くまで舟の灯りが点る半島を、
だれにも知られず萎れ枯れてゆく花々を-

今や、もう月は目一杯に欠けている。
あなたのいない私のように欠けているのだが、それは哀しみではない。
遠い想い出の残照であり、波を吸った砂浜の音であり、そして私は今や、
もう、ことばを持たないなにものかであった。
哀しみを遠ざけながら歩く、なにものかの二つの影であった。
2014-10-22 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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