空がない

久し振りに聴くカラスの声は
野性味を一層、帯びて高くより、むしろ低く空を飛び渡り
残飯すら必死に守る私たちを鳴くき嗤う

あるいは巧妙な罠を仕掛けられ、あるいは毒を盛られ、
カラスは同類の血と、引き裂かれた肉と、
残酷な死に報いて知を蓄える
それは野生の知だ

一羽一羽は弱いくせにカラスの知は、
残酷な血に塗れ、死に塗れ
それでもなお乾いた野性を振りかざして
幾度も飽かず人間を嘲笑う

都会の隅で、郊外の隅で、しかし
彼らには空という武器がある
それはハトとて同じことだ

地に這う人に、空はない
見上げる空は残されているとしても
血を賭けて、命を賭ける空はない

しかし同じように地を這うドブネズミすら
精一杯を空を賭けているというのに
空がないことに甘んじている人に、空はないのだ

しょせん血を吐いて横たわり
なお空を翔る彼らの高潔さに優る
野生がないのだ
2014-10-27 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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