冷たい雨が降るところがなく

冷たさの一つも帯びない雨が降る…降っているなかを
どこへも繋がることのない距離が横たわり、
そこには一枚の枯葉で敷きつめられている。
雨の冷たさを閉じ込めた記憶は定かではなくて、忘れられた涙さえもが蘇ってくる。

ただの一言が数え切れない無言を越えて、
いや、死に絶えた無言の上に立ち尽くすだろう。
どこへも赴くことのない無言の時に飽いて、どこまでも続く波打際を、きっと
ただの一言が辿りながら、無言の上に立ち尽くすのだ。

そこでも、きっと冷たい雨は降らないし、血の混じった雨の雫が窓を濡らすことはない。
乾くことだけは許さない冷酷さで降る雨が、雨音を忘れながら遠ざかろうともせず
果てのない時間のなかを降りつづけるだけだろう。

海に降る雨の音なら想い出せるだろうかと、その距離なら想い出せるだろうかと
きっと試みてしまうのだろうけれど、すべては無為にしか帰すところがない。
ただ涙の音だけが絶え間ない隙間を埋め続けようと
むしろ冷たい雨の代わりに降りつづけるように流れつづけているだろう。

冷たい雨には、もう、降るところが残されていない。
降る先すら残されることがない。
2014-10-29 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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