足跡のなかで

激しく降る雨の雨粒が、地を舞う風に煽られて優しく降り注いでしまう。
消えてゆく足跡、足跡を追い、
一つの影が静かに走っている。凍るように走っている。
一筋の血を鮮烈に滴らせ続ける古木を過ぎる、いくつかの過去と

鋭い刃で切り裂かれれば良いのにと、合わせた肌と肌とを白けたように熱が通う。
もう一度だけ想い出そうとした汀の時間は永遠の幻のなかで殺されていた。
死んだままでしか想い出されない水際で愛し合う二人にも、雨は届くのだろうか、
あまりに激しい雨音が、世界のすべてを覆うかのように、
ただ、それだけになってゆく。

拒絶ということばすら忘れて拒絶だけで築かれた世界のなかに雨は降る。

永遠の歴史の一つとして。

想い出されるのは遠い一つの横穴だ、そして
そこで抱いた人と抱かれた人と、

遥かに遠くで夕暮を知らなくてはならない激しい閃光に包まれて、
ただ一つの足跡のなかに、そっと枯葉を一枚だけ置いてみる
だれにも見られることがないように、死んだ葉を一葉、置いて、見る。

足跡のなかで、静かな遠い雨が降っている
2014-10-30 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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