木立と小石、二つの季節と

光る木立には、第一に秋が、続いて第二に冬が与えられる。

秋のなかに展開する鮮やかな色彩は一色に収束しようとしながら、その光に支配され
そのうちで秋は、永遠に色彩の展開から逃れることが出来ないままである。
秋の裡に置かれるものとしての君の影、弱まってゆく陽の光を頼る影がある。
季節の苛酷さから、自然の残虐さから逃れ出でたものの、
頼りなく、薄い生気のみに支えられて揺らいでいるだけの、影がある。

いく人かの、さほど多くもない人々の雑踏にさえ踏み潰された、
あの生暖かさを残す吸い殻のように衰弱した影がある。
そして秋に続いて、冬が与えられるのだ。

それは永遠に雪を待ちながら、雪を知ることもなく待つ冬である。

あらゆる逞しさが弱ってゆく冬の陽だまりのなかでは、
小さく凍った水たまりが薄氷によって微かな光さえ集め、
すべての穢れは衰弱のなかに色を喪ってゆこうとするのだが、しかし
そこでさえ、一条の、微かな冬の光は色彩を展開し、
やはり、その冬も色彩から逃れられずに真白な雪を待つ
降ることのない雪を

そして私たちすべてが立ち戻る光る木立、
だれも寄せ付けることのない穏やかな丘の上、遥か四方からの遠方に凛と立ち
水平線を越えた水平線、地平線の向こうの地平線を、幾本も縊り殺しながら、
冷たい一つの石を見下ろすことを忘れない木立であって、
ただ一本の潅木によって成立する木立である。

そこに夏はあるか?春は訪れるか?

否、そこに訪れるのは第一に秋であり、第二に冬でしかないのだ。
そして秋のなかに展開する鮮やかな色彩、一色に収束してゆこうとする色彩、
光はすべてを逃すことがないが、その木立、ただ一本の潅木に畏れを抱き、ひれ伏す。
それは秋と冬の限りなき無にちかく、限りなき全に近い狭間でであって、しかし、
たった一本の木立は知る由もなく、ただ一つの小石を見つめ続けているだけなのである。
2014-10-31 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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