瞳の、冷たさ/想い出

通り過ぎるトラックの、ホイールのなかに映りこんだ瞳を
いくつかつなぎ合わせると台風の目を想い出す。

そこは、きっと空白、なにもないのではなく、空白があるという空白。
だれも見ることがないままに冷えてゆく私の体の芯のように、
なにもないわけではない空白。
ただ一杯の温かいコーヒーにすらすがってしまう、弱くて儚い私の空白。

懐かしい雨の音を想い出しながら、
コーヒーの湯気の待つなかに空想を泳がせる。

あなたが明るい公園を歩く、手ごろな椅子を見つけて座る、少し落ち着いて空を見上げる

ただの鳩でしかない、それでも鳥の影が、あなたの憂鬱を物語りながら飛び去る。
私は、その憂鬱からは外れているけれど

私が生まれるのは台風の目だから。

あの、トラックのホイールのなかに映りこんだ空ろな瞳のように
だれにも見返られず、ただ冷えるに任せられるだけの空白が残された空白
荒れることも忘れた空白だから

放っておいてくれれば、それでいい。
なにも生まれることがなかったし、
たとえ生まれたとしても、それも空白でしかないから、
放っておいてくれれば、それでいいの。

少し熱い頬も、冷たい身体の芯が冷やしてくれるから、私は想い出せない。
ただの空想だけが過ぎるだけで私は、もう何も想い出さない。
2014-11-01 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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