それは男だったのか?

足がない影を辿ると地図に遭う。
とびとびに穴が開き、海は流れ出す。
白い花ががくごと消えてゆく。

影のことを想い出しながらテーブルを這う指が透明に光ると、
影の訪れた足音を聞いた人がいない。
薄橙に染まった壁だけが、沈黙したまま記憶を反芻し、
足元から立ち上がる夜に飲み込まれている。

ゆっくりと停止に向かう時計の音が部屋中を跳ねると、
バネの強さで時計が壊れ、
静かな影がひっそりと嗤う。

だれもいない部屋のすべてを悪意に満ちた嗤い声で満たし、
流れ出した海の渦のなか、白い花に囲まれて足のない影が一人、
いつまでも嗤い続けている。
2014-11-04 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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