スーパーマーケット/秋

フルーツが並んでいる脇を過ぎると
野菜、秋なら種々の芋類、
もう、きっとハウス栽培の葉物たちは季節を知らないだろう
自動ドアの脇になら、いくつもの名を知らぬ花、
植木鉢までもがあったけど、もっと進めば漬物があるね、魚も肉も

乾物、調味料、パン、お菓子、ジュース、お酒
忘れられた文房具、目に留まれば買うかもしれない雑貨
哀しい暖房の温風が音もなく私たちをいずこともなく運び
忙しげな店員の、それも無料ではない笑顔と会釈
それは無料で良いだろう、押し黙ったまま荷を解く店員の

いくつもの会話が、他愛もなく交錯して
私たちの買い物場は寂しいね、だれもいない

走り出す子供の手にはチョコレート
周囲を気にしながら叱る声を想い出し
チョコレートを食べたことのない子供の
カカオを摘み取る手を想い起こすのは確かに切ないが
あまりに考え過ぎかもしれないね

キャスターはスムースに、スマートな床を滑り
私たちは不器用な足取りを進めてゆこう
レジを通り過ぎるときの、そう
まるで出獄するときの微かな快感をいくつか買い
無料サービスの水を、再犯するだれかの代わりに頂こう

循環を想い出すね、休憩が必要だよ
次の店に行く前には車に荷物を積んでおこうね

駐車場の空は明るくて良いよ
ほら、あそこに花が並んでいるんだ
どうしてだれも聞いてくれないのかな
ほら、そこに花が並んでいるんだよ

一人きりの男性が
花を見つめながら、さっきから泣いているんだよ
自動ドアをくぐることすらないままに
一人きりの男が花を見つめてずっと、
この秋を一人、泣いているんだよ
2014-11-18 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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