プール哀歌

そこに一つ、忘れられていったのは
夏の陽射のなかに煌めくプール

ある住宅街、その住民の知ることのない
遠い未来からさえ訪れる煌めきのなかに夏を待ち
私たちのなかでだけ泳がれる一つのプール

お前たちは知るまいと毒づく少年たちの
頬を染める少女たちの君臨する(そして君臨した)
惨めに破壊され尽くし、忘れられようとする
訪うことなきプールで泳ぐ君と
不気味さに光る夜のしじまを泳ぎ始める彼との秘密
そして、とうとう、忘れられた夏の日だった

君が水面の煌めきを永遠に変え
その濁った瞳の奥底に閉じ込めてしまった
それは私たちのなかでだけ泳がれる一つのプール
夏を知らないまま涸れていった、夏のプール

今日、見かけたのは
やさしげな面立ちの母親に手を引かれ
よたよたと夏を歩く幼児であった

その汗のなかに見つけたプールを私たちは
いくつかの私たちに立ち返り、振り返り
違うプールを探しに行ったものだった

そこに一つ、想い出されるものがあるのなら
夏の陽射、君の不透明な美しさ、淡かっただろう恋と
いつまでも響く嬌声が尚もまた反響し続ける夏の雲
二度と雲を映さない、そのプール
スコールのなかに一人で立ち尽くす、そのプール
2014-11-25 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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