砂楼(コア)

訪れる足音と遠ざかる足音と
その間で訪れる強い眠気のなかに
ほんの少しの君を閉ざし、瞳を預け
私という愛を形づくるように
砂浜には砂楼を築き続けていた

崩壊するうつくしさを見定めるために、しかし
それは見事なほどのお決まりのように波は訪れず、砂楼は
荘厳さを増しながら巨大化してゆくばかりだっただろう

かなしみの星で響いた音が砂浜で弾けている
まるで愛し合うことが今にも始まるように、それは冬にしようか
あるいは夏にしようか(春と秋とには除外される理由がある)
もう幾日も君の声を聴くことがなく
私の声も届くことがないので、私たちは二人、無言のままだろう

忘れた頃にたち返り、投函した手紙のことを君が想い出し
私が君の代わりに読むだろう、石のなかに吹く風に揺られながら、
波のない海のように静かなときを迎え入れ
君との間に拡がり続ける虚無、もう一方に対置される一つの核
そのコアの弾ける音こそが足音の正体だろうと仮定して

私は眠る、君のいない、長く短い夢のなか
枯木に奪われた瞳のなか、砂の粒と粒との間に埋もれた眠りのなか
仰向けになれば空と重なる砂楼(そして、そのコア)を

読み続けられる手紙の文言が延々と繰り返され
私と君と、二人ながらの感情が薄れてゆく、消えてゆく…

いつまでも呪文のように繰り返される宛名
仮定されたまま固定されゆく宛名
不在のまま愛された君の名前、ぼくの名前

私を私でなくしてしまうだろう、その宛名を君として
私の手紙が、いつまでも波のように読み継がれている

砂楼は既に、色を喪った空にさえ触れている
世界にさえ、もう得体も知れず、既に触れているのだ
2014-11-29 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

月毎落書

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補