一つの不思議として(私は拒絶する、否定する)

毎度、お決まりのように、
つまり、毎日の決まりごとのように
ある朝、その男の前において
世界は一つの不思議である

手の届く、十センチにも満たない距離にある
巨大な窓に手を届かせるためにさえ
いくつもの難問を問いかけられ、
答えては問い直されなくてはならない

延々と続く喜劇にはだれもが飽きるし
男も、また、飽きてはいるのだ

しかし今日もまた、
たった一つの不思議に囚われたまま
窓の向こう、むしろ空向こう近くを飛ぶ鳥の群れ
笑い、泣き、あるいは難しい顔をして歩く人の群れ
定期的に、あるいは不定期に訪れる電車、
渋滞し、通行する車たち、もろもろの、もろもろの…

それら全てを見送るしかない椅子に座ったまま
すっかり夕暮れてからは
久しく見えもしない遠景にまで想いを馳せるだけで
たった一つの窓にすら触れることが出来ず男は

腐乱する種々の、諸々のなかにあって
ただ壊乱する自らの皮膚を撫でることさえ出来ず
火を点けることも叶わなかった
たった一本の煙草を咥えたままの、そのとき、
その男の前にあって世界は黙り込み
一つの不思議であり続けるしかないのだった

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ワタシナラ ソンナ スベテハ
キョゼツスル ネ ヒテイスル ネ
イラナイヨ ナニモカモ
ソンナ クダラナイ ナニモカモ
2014-12-01 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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