自由なる哀しみのなかで閉じる場所が探される

満員電車が発車し、終電も見送られたので、
もうホームを訪れるものはなく、しかし、なにかが
別のなにかがホームのベンチで待ち続けられただろう

冷たいバスの発射音が冬の風にように、
さほど早くもない朝を通り抜けて行くのが想い出されると
哀しみのなかを通り過ぎる幾羽かの鳥は
決して群れをなさずに想い想いに飛ぶのだった

一色の雲で覆われた空、
それはサーチライトを持たない夜の空に似て
きっと、そのままでは保たれることがない
冬と呼びたい冬以外の季節にさえ
見事に孤独が演じられただろうか
冬の孤独、すべてを死に追いやる冬の孤独を

ホームのベンチ下で負傷した一匹の猫がうずくまっている
倒れた缶コーヒーの甘味を一つの助けとして
越えようがない冬の寒さのなかで
猫の瞳は静かに閉じる時間を待ちながら
閉じる場所を永遠に持てない不安に溢れている

君の閉じた瞳を見やりながら私は
扉を少し開けたまま、そっと君を置き去りにする
満員電車を求めて、せめて一両の電車を求めて

冬か、冬でない季節かのなかに置かれたベンチからなら
きっと一人になれない場所ばかりが与えられ
君の閉じた瞳を想い出しては途方にくれる

冬以上に冬である冬以外の季節のなかで
あの一匹の猫のように、しかし、
どこも負傷していないなんて
どれだけの寒さを迎えなければならないのか、
いつまで経っても、わからないままだ
2014-12-04 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

月毎落書

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補