初冬(あるいは晩冬)の汀の鋭さに切り裂かれた、

笑いながら死と血を交じり合わせて
生まれるすべてを葬り去る喜劇のなかで眠る幾千億もの冷たい石塊
その一つに宿るだろう私、その一つに宿るだろう君…

祝福する空の下で迎えられるだろう季節の息を殺しながら
遠い街のなかに住み込んで床を這う惨めさを競い
テレビのなかから響いてくる嘲笑を競い
頂点に君臨する悲劇を喜劇に転じる、その力を鳥の羽ばたき
遠く、あの山の頂上を越えてゆく鳥の羽ばたきとして
私たちがともにすること、それだけが祈られている

抽象化された地平線の向こうからせり上がってくる季節には
きっと雲が糞のようにこびりついているのだが、
ヤドカリの背負う巻貝は苔むしていて、ただ冷たい潮飛沫だけが降りかかる
北の国のことについて話した記憶を遠ざけて
陽気な南国のスコールのなかで立ちつくし、立ちつくしし…

語られるすべての悲喜劇の区別を喪う病に伏す間もなく
震えて伸びる指先にさえ触れる間もなく
砕ける石として宿る私ならば、砕ける意志として宿る君

君は、やがて立ち上がり、私を手に取る

眼下に幅狭く狭隘を極めた水平線を見下ろし、
その先に私を放り
「つまらなかった」
とだけ呟いて去ってゆき、君は
見知らぬ部屋のなかで作者不詳の一篇の詩に涙する

ちょうど、暖炉のなかでは一つの爆ぜが生まれようとしていて
それが私の再誕であっても君は知らない
いくつもの爆ぜを聞き流して君は雨の心配をする

やがて気づかない雪が積もり、君のあばら家を覆いつくし
私たちは長い結婚式の溜息をともにして
いまも輝いているだろう地平線を境に
想い出せない慈しみを与えたものに想い馳せ
互いを知らないまま「おお、神よ」と跪く
2014-12-10 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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