君の柔らかな指先を出航する

柔らかい指先が切り裂く季節の空を
飛ぶように歩く鳥が泳ぎ始めると
私と君のあいだに訪れる冬を想い出し
小さな貝のなかで溢れる海を想い出し
岬の突端から帆を突きだす帆船の帰航を祈るだろう

二本の樹で覆われてしまう、この街では
君の居場所は無限に広がり
私たちの出逢いを許す場所がない
還る場所がない二人は一人に戻る

冷たい黒猫を抱く腕を彫琢して君は
微かな呼吸のなかに中身のない祈りを込める

私たちには、まだ幾億年かを期待し
知らずに届く呼吸が残されていて、
私は見上げる星々すべてが
呼吸を止めていることを考えている

神の呼吸について、大地の呼吸について
空の、雨の、呼吸についても

帆船は呼吸に抗いながら出航し
私たち二人の瞳を別々に受け取るだろう
そのとき見る水平線の向こうに消えるために
冬以外の季節なら、いつでもよかった
それが冬でも私は、もう気づけない
2014-12-11 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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