遺棄された哀しみに

さみしい空の一角から一つの愛が零れ始めると
スキッ歯のような街の一隅からさえ
楽しげなクリスマス・ソングが響き始める
だれも祝うものなどいないのに唄は唄を生きている
冷たい滑空の音さえ聞かず
後ろから刺す光を躱すことも出来ず
投身する哀しみが地に着く前に紙きれに変わる
男の拾う侘しい背中には
乾いた死児が瞳のない子犬と戯れ
母親を持たない幸いを偽母に捧げながら
男の首筋を指さしている
だまっていた狂人が一人だけ気づき
死児の指をナイフに変え
安堵した男の祈りを聴きながら
そっと首を刺し
穏やかな陽だまりの公園のなかで
喪われた街が一つの誕生を迎える
もう終わりのない誕生を
さみしい空の一角から一つの愛が見つめ
還れない夜空を想い出しては泣きはじめると
いくつかの雨が降り注ぎ
傘を失った早足が
繋がる先のない舗道を叩き続ける夕暮が訪れる
もう、だれもいないだろう
この世界には、もう
だれも必要とされていないだろうと
哀しみが棄てられる
無数の落葉に似せて
無数の哀しみが、棄てられる
2014-12-19 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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