恋人のいる里では

寒さを距離として、かじかみながら萎える足の冬になり
遠くへと進むより近くへと進んだひとつの影を追い
恋する雪なら雲にすがりながら、いくつもの山を越える。

恋人のいる里いない里、恋人のいる里なら知ることがない

人のいない田畑がきらめいているので
ざわめく季節が指先に触れると、
そのまま季節になりたくなるだろう。
大股の歩みが山頂を巡り途絶えているが
男の姿は、もう見えない。

冷酷な祈りの鐘が響いてくる、
荒波の岬だ。
身投げするだろう女が独りで生きている。
あばら家に乳飲み子を置いて、
ふくよかな胸をはだけながら。

輪舞が始まる静かな夜にだけ去る季節がある。
人気のない一瞬を過ぎ去るだけの小さな季節がある。
寒ささえ距離となる季節を知らず、
過ぎ去ることだけしか知らない季節が、
男と女を永遠に隔て続けている。
2014-12-29 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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