息絶えのなか

冷たい光のなかでだけ鏡の奥に咲く花を見たら、消えさる時間を追いかけるじゃないが、きみの名前は覚えようじゃないかと、その面影なら撫でるように愛されたはずだ。
山頂から山頂への飛翔は華々しくて好きになれないが、深海から深海への沈潜だって曖昧過ぎて好きになれやしない。だから平野を歩くのだと聞いたが、そのときに吹いていた風を覚えていないように枯葉だけを落とす木立の歩みで歴史を忘れながら一つのベンチから眺める滑り台には子供がいない。

封鎖されたすべての公園から対岸を目指せよ、解放を謳歌するすべてを抹殺するように沈黙し、そのまま目指せよ。川瀬を踏む足音で目覚めるきみを探しているから、封鎖されたすべての公園から旅立ち対岸を目指せよ。
あらゆる魂を乗せて走る電車は銀河を知らないが、冷たいときも温かいときも汚れに満ち続ける川から眺める夕暮だけを知っている、そこに昏い背を持つ夕暮なら知っている。

理由を問うならば決して応えない静けさを追って私たちの時間が走る。決して使われないことばを探して私たちの一つだけの時間が走り、並走する無数の幻想時間たちを振り払おうとし続けている。
忘れてしまったきみの名前が泣いて、嗚咽が響く。汚れた川だけに凭れる夕陽が静かに息絶えてゆく。無限に繰り返す死のなかで、たった一つにもなれない息絶えのなかに沈んでゆく。
2014-12-31 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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