川添い

傍らの草むらを川面を眺めながら尻で押しやると、押しつぶされた草が少し向こうの陽に焼けた石を指した。一つの石を手に取り、その熱さが周囲の空気を歪ませてゆっくりと空中に放出されるのを感じながら温もりがなくなる前に頬にあててみる。水の音に混じる木々や山や色々な声をかき分けてほほを通り抜けた石の囁きは、しかし小さ過ぎ、仰向けに寝そべると風のない退屈そうな青空の下で、なおも石は囁き続ける。疲れた手があきらめて石を放ると石が川に沈む音が足元から立ち上ってきて脳裏に滑らかな川面に広がる一時の波を浮かべて消えた。十分に水を吸わずコケの一片もない石が水音に囲まれて消された囁きを一人呟き続けているのを眺めながら、さっきよりも大きくなった雲は話し合うことを止めずに散り始める。川沿いに下ってきた霧が周囲に立ちこめた中で沈んだ太陽を追ってほほに触れると、ほんのりとした温かさが心を少しだけ温かく迎えてくれた。そのまま心は川中に沈み込んで新米の石と一緒に静かに水音に包まれた。
山霧に濡れそぼる石の一つになっていた。
2006-08-30 11:57 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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