君の名は

見知った顔を見出せない雑踏を見下ろし、
その駅の階段もまた人に溢れている
階段を上る人、下りる人、立ち止まる人
人、人、人・・・

その中をゆっくりと静かに歩くと、
何人もの人の肩や肘や手や、
背中やお尻や腿や膝や足や、
何人もの体が私を通り過ぎて
ぬるい衝撃を残して去っていく

もう下り切った階段を見上げて、
すり抜けることの出来ない私も
やはり、そうして誰かを通り過ぎて
ぬるい衝撃を残しているのだと想い

きっと私達は名を知らないままでいいんだと想う
名を知らぬまま、ようやくに駅を出ることが出来、
それでも寂しいので振り返ると、
そこはもう、人ごみの過ぎた名を知らぬ寂れた駅だけが
頼りなく点滅する灯火の中で消えたり現れたりしながら
さようなら
と、囁きかけてきて

何か愉快な気分で向こうの星空に向かって歩き出したのだった
2006-08-31 19:49 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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