反響しない声にすら虹が掛かる

この日向から海岸へと続く、途上の椅子に家が住んでいる
それですべてだと言いたかったが、
すべてではない気分だけがきみを追っている、
留まったままの枯枝に宿る私の残骸

骨すら喪い、もはや遺骸としての意味さえ喪い住む残骸
それならばすべてだと言いたかったが、
それでもなお、不足するのか、きみへの想いは
そうして引き出されてゆくのか、私の哀しみは

出自を知らぬ孤児のように揺蕩うことしか知らぬというのに
こんなにも明らかな、こんなにも見失いようのない明らかさのさなか
もう一度、この日向から海岸へと続く、途上
椅子を置いたのが間違いなのかと問いながら
放浪する家に安住の訪れない虹が掛かる

-雨が

そうだ、雨から始まったのだね、きっと

-降っていたのだね

ああ、遠のいてゆく
きみの静かすぎる反響しない声が、
遠のいてゆく記憶のように その声が遠のいてゆく

まるで記憶のように遠のいてゆく、きみの声
失われた嬰児となり私は、声を喪う
とうに喪った声を喪う…

それならば少しは言い得たと想えるかもしれない
影すら持たぬ残骸として
出自を奪われた孤児として
あの日向から海岸へと続く、途上の椅子に住む家の
ただ一人の住民として

すべての少しのカケラを拾い
私はすべてを[問・う]君の声に
懐かしさを忘れずに遠のいてゆく君の声に

-雨が…
 降っていたら良かったのかも知れない
 確かに、それは確かに、確かなことだ

2015-01-09 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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