薄く、薄く、そして雨煙の向こうに薄く

インスタントのコーヒーを作る

とは言っても、あの粉を
パラパラ…
とカップに入れて湯を注ぐだけだ

この粉の入った「お湯」を煮詰めたら、また粉に
インスタント・コーヒーに戻るのだろうか?
そんなことを考えながら、しかし
薄目のコーヒーを飲んでいたはずだった

薄く、薄く、うんと薄く

粉を減らしてゆけば、どこまでも薄味のコーヒーが出来るだろう
最後には水の味がするコーヒーすら出来るかもしれないな、などと
なんとも愉快な想像すら広がり始めたのを覚えている

強い雨足のなかでは小さな傘がゆれ、
安全シートというのだろうか?
仄昏いなかでも目立つシートを被せたランドセル

ランドセルを抱いたように柔らかに揺れる傘、
傘にすら波紋を広げる強い雨、
それらを横目に忘れながら車窓は切り替わってゆく

何か出来ることはないかい?
だれにともなく呟いても返事は求めていない
そんなか弱い、あるいはやさしい気持ちも
煙る雨なら消し去ってくれる

薄く、薄く、もっと薄く

薄味のコーヒーを舌が想い出し
これという理由もなく少し涙ぐみ

ガラス窓の向こう、今は知らぬそこで
静かに激しく降る雨を
忘れたようなコーヒーと見送っている

薄く、薄く、うんと薄く
薄く、薄く、もっと薄く

そうだった、薄く、薄く
だれにも気づかれないほどに薄く、まだ薄く…
2015-01-17 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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