一粒だけ降る雨と、ただ独りの支配者と

ずぶ濡れになって一粒だけ降る雨を探している
体温に等しく降る雨を一粒だけ
触れる前に消えてしまう雨を
降る前に降り終ってしまう雨だ、雨

海岸に林立する風のように、そこにある遠くを滞留し続け
回遊さえ許されずに凍てつく流れ、そのもの
知られることを望みながら、すべて、さらけ出されながら、しかし
常に回避させられてしまう視線を知ることもなく
木々の梢さえ渡りかねている小さな鳥よ

街は降る雨に鮮やかさを奪われている
雨のなかを震えて歩く人々がいる
雨から逃れて、それでも震え、うずくまるだけの人々がいる
みな、一粒だけ降る雨を探しているのに、きっと
それを知ることはない

海岸を、砂浜を転がる壊れた傘には
はらむべき風があるだろうか
それとも蹴飛ばす子供の無邪気があるだろうか
冷たい、冷たい季節を壊れて傘は、転がる

忘れている、想い出せない、許されてはいない
閉じることからさえ遠く隔てられた瞳は乾き、飢えている
ずぶ濡れになってさえ一粒だけ降る雨を探しながら

砂浜にある遠くをはためき転がる傘
その持主は、傘のことを知らないだろう

今、持主の知らない傘は海岸を占拠する支配者である
そのように支配されるべきものを持たない傘は、
ただ独りきりの支配者なのであった
一粒だけ降る雨を遠くに持つ、支配者なのであった
2015-01-18 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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