廃船の傍ら

遠くへ打ち捨てられた廃船を想い出すように、
ひとつだけに統一された過去、記憶が蘇ると
それはむごたらしい拷問に似て苦しみに満ちている

かなしくわびしい景色を、気持ちを想像していたのに
あまりにも苦しくて息が止まり
やがてはいくつかのイメージさえもがぼやけ、
あの、終わりがどこなのか分からない、
雲の終焉ふきんのような曖昧さのなかに私は漂着する

既に生きてはいない私として
重いだけの砂を身にまといながら立つことも出来ず
冷たい波がいくたびも嘲笑のように打ち寄せ
こんなことならば、と想いながら、しかし
漂ってきた元を想い出せず、私はあまりに一人だった

廃船から響いてくる汽笛は霧のようで、ただ深く
眠りのなかにだけ沁み込むように
私の死のなかの隙間に埋め込まれてゆき
凝固した血液の赤黒さを帯びてゆく

想い出されたひとつの過去だけならば、
生きているかのように停止し
少しは光を帯びて私の上を舞っているかもしれない
雲の隙間から立つ微かな光柱を期待してはならないが
私の黒々と死に絶えたままの瞳にも少しは
映り映える光が必要だろうと
あまりにも遠い乾きがつぶやいていたようだった
2015-01-27 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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