衰弱するすべてと

衰弱してゆくものらが語る遠路を想い出しながら、
ただ揺れる、反復する、みの虫のやどり木は世界に朽ちて
この錆びたガード・レールを涯にしていたか
そよとした風すら吹かずに丘の上は鮮やかな緑の波
あの異国の少女の止まったままの瞳のような空の蒼のたなびき
空を切り裂くぶんだけ育ちゆくような真白の雲、雲…
そして雲形定規で描かれた疑似螺旋の無数の途絶
美しい湧泉を想い出す小川の畔ならば語られる恋もあるのか、
いくつもの男女の異形をかたどる影はさ迷い歩く
さてもと苦笑いしながら衰えた筋肉を撫で、
その痛みを生きた証として血にこすれば
数歩で深奥まで達してしまう神の憩い場を横目で過ごし
むしろ息絶え絶えの消炭だけの暖炉を目指す
扉を開ければ出がけのメモ一枚がほろりと机から零れ
それすら拾う力を惜しんで座る椅子の冷たさ固さ
遥かな昔からスリ硝子のように外を通さない窓は
もう寒気が忍び込むだけの用しか果たしてはいない
煙草はないか、火はないか、コーヒーはないか
もっと萎びた自涜はないのか
せっかく暖めたナイフの刃ならば
心地良く裂けるほど美しい肌じゃなけりゃあいけないね
だまって揺れるクモは餌もなく数年を干乾びている
あのみののなかで、はたしてみの虫は生きていたのか
そいつについては確かめもしなかったし
考えてみれば確かめることすら忘れていたんだ
2015-01-28 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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