その差異にだけ想い出す…

ある種の冷たさのなかから、ひとつの冷たさを拾い上げ
季節から外れた風に乗せられながら走る、あなたのバスを想い出します。
岬の危うい縁を危うくたどりながら走るバスです。

疲れた鳥なら一羽ではいられない。
そこにはもう一羽の疲れた鳥が寄り添う、そしてもう一羽。
まるで輪廻のように隣に伝わるのは、ひとつだけの哀しみ。
陽の当たり方で、光の当たり方で、見え方で、
あらゆる意味で同一ではなくなってしまう、
しかし、ひとつだけの哀しみ。

鳥たちの瞳が輪のなかに開くとしたら絶望的で、
それならば閉じていた方が安らぐに違いない、そう想う。
むしろ輪の外、冷たい雨さえ降る、
辛く孤独な輪の外に向けてこそ瞳が開かれたとき、
そこには希望に似た力が宿るだろう。

だから愛しい人の瞳を見てはならなくて、
私たちは互いを知らないまま、希望に似た力で立っている。
バスの通り過ぎる音が響くときは、きっと、そういうときです。

岬の切り立った岸崖の鋭さで開かれた海、
その揺蕩うような凪の波を見ながら私は、
そうしてきっと、あなたを想い出します。
バスの去る音だけを繰り返し聴きながら、そう考えています。
2015-02-04 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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