遠いものだけが生きている

誕生するなら、そこの路上、冬の
残酷に和らいだ冬の陽だまりに湯気たつ向こう
固い霧のように頑固な霜に横たわる
影だけが幾重にも重なるなか
光からなら、より遠いものだけが生きている
誕生するなら、そこの路上、冬の
さっきの朝、死んだようにタイヤを軋ませ
恋人のひとりも知ることのない冷たさでだけ訪れる
あらゆる季節を見棄ててきた冬
そこに座ったまま眠り逝く男らの知らない季節として
誕生するなら、そこの路上、冬の
コインの落ちる音が真っ先に凍る、冬の
もう昨日には終わり、過ぎた、冬の
誕生するなら、そこの路上、冬の
きみのいなくなった、きみを失ってしまった
そんな冬の路上でなら言うだろう
ぼくさえ少しだけなら誕生しただろうと
誕生するなら、そこの路上、冬の、冬の、冬
2015-02-07 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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