問い、問い

夜を哭き通した鳥の眠る昼の休日に、私たちの眠りは浅く、まるで淹れ損ねたコーヒーのように薄く不味い。
遠浅に接続する手近で丸まった浜辺に拾う、夜だけ蘇る都市の残骸には季節を渡しながら、風の方向を測ることができない風見鶏のように吹きぬけてゆく時間、いくつかの時間。それらを数えながら泣きはじめようと待つ恋人の背中には先に落ちる夜、視線を閉じてゆく終わらない恋の終焉で、たむろする空虚な哀しみを生もうとしている。
平日だったら違った景色のなかで別れを迎えられたかもしれないと、忘れられた嘆きを、疲れきった嘆きを放るようにぬるくなったコーヒーを飲みはじめ、さらに枯れてゆく冬の野原を雪もなく歩きはじめる、視線、失われるべき視線。むしろ想い出に変りはじめる新しい視線を遺棄しようとあえぐ古い視線のなかで愛しあっただろう記憶すら失われる。坂を越え、もっと坂を越え、ただそれだけで異国に行ける、あどけなさのなかに消えれる。
「ら、ら、ら…」
歌うように、ら抜き言葉を探している子供たちを真似て訪れる夕暮に、休日の足取りは早い。
「哀しい、ね?」
だれも問う人はいない、遠いところまで辿りついてしまう島から訪れたひとつの乾燥した問いだから。砂丘を覆い尽くすほど薄く引き伸ばされた問いだから、風に似せて問われることもない、そのように問われる。時間と恋人との関係を式立てるなにか、そこに関係を見出しながら愛そうとする不能、それを愛してしまう恋人、いくつかの恋人。さらに問われない、さらに広がる、問い、問い、いくつもの、無数の問いに囲まれている。あまりに簡単に囲繞されて笑っている、残照(「どこから?」と)。
2015-02-12 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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