夕暮れよ、微笑めよ

ほとんど、ただ曖昧だという理由だけで殺された微笑だけを携えて、
ぼく達は、ぼく達だけを締め出そうとする、ほとんど、それだけの世界を拓いてゆく。
開かないドアや扉など、どこにも存在しないかのように、
閉まったままだけでいるドアだけを、扉だけを探しながら
ほとんど一人きりしか入らない部屋の隅から隅へを隈なく、
ほとんど世界だけで終わる、あの季節のように微笑んで-

「遠いね、遠いね、ね?ねぇ?遠いね-

きみのことばは途切れなく続いてゆく。
私のことばは途切れたまま。

「もう一度、<ぼく達>を取り戻すかい?」

意地悪な質問だったかもしれない(意味のない質問、それは君が嫌うものではなかった、それは知っていた)。
それでも一陣の風と言われる風に吹かれたように感じた瞬間、ぼくを吹き抜けたのは、その問いだったのだ。つまり君への最短距離、それが意地悪だった、そのように私は知っていた。

「もう、夕暮れるだけ夕暮れてくれ-

ぼくらは、ぼく達であることを、私であること、君であること、その他もろもろを止めた。
ただ夕暮れ、開け放たれたドアからも窓からも入り込もうとしない夕暮れを、あるいは恨めしげに見つめる子供の眼-隻眼の勇者の御落胤-ではあろうとしたかもしれない。

「微笑を、夕暮れは持っていないね、うん、持っていない-」
2015-03-02 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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