幻滅の音色

幻滅の音が流れてゆくのを眺めていた。
薄暗い部屋は、いつも、そんな風であると良いと想いながら、傍らの布団からはみ出した毛布に手を伸ばし、
-きみの声が聴こえない場所を探して、私はここに-
<それ>を想い出す。

「私」と、私は書いた、「私」と…もっとも書きたくないことばを、いや概念と呼ぼうか。
いずれにしても、「私」ということばを使うとき、目にするとき、私は滅入ってしまうのだ。どうして私は「私」から解放されないのか、それも意図的に、意識的にではなく、何気ない散歩の一歩、振り返り、見上げするように。
すべてを台無しにして蝕んでゆく「私」が私は疎ましい、恨めしい…

ああ、幻滅の音が流れてゆく。
「うふふ…
きみの、自然に美しく消えてゆく含み笑いの声の柔らかさよ、やさしさよ、それを愛していたと記憶している。
そして、この部屋は薄暗い、きみがいないで薄暗い。
ああ、幻滅の音がひたすらに、ただ、ひたすらに、流れてゆくのを眺めている。
2015-03-03 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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