道の涯

数え終った憎しみだけが石の形で路傍に砕けず置いてある。
兵士は消えた、遠くではなく、すぐそこで。
震える子供たちを見かけることもなく、ただ風に揺れる背高の穂草が時を刻む。

だれかが歴史ということばを刻んだ砂を、
砂場に散らせるか、海の浜に、あるいは川傍に散らせようかと談義が始まる。
ひとりの痩せた女が冷たい視線だけを落ち着きなく動かしている(黙ったままだ)。
子供たちは女を自分たちの前から外さずに後ずさる。

人のよさそうな中年の男が優しく語りかける。
「兵士は消えたよ」
子供たちが繰り返す。
「兵士は、消えたよ」

見失われた道が無数の石を抱きながら夕暮を待っている。
子供たちは手を取る相手を、今度こそは間違えないように、と
道の涯を見続けている。
2015-03-06 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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