夜すら夕暮を愛して

愛しさばかりを抱いて、
陽が沈んでゆくのを見守っている風が吹いている。
ふり返ることを知らない風にさえ、
よそ見を与えるような季節なのだ、かなしいと、だれかが言うだろう。
いくつかの林立する木立と電信柱、
わずかばかりの苔に似た緑を羽織った路面、
路面から繋がろうとする地面、湿り気を帯び、
ひとつ前の季節だけを生きる地面を求めて地平線がやってくる、
あるいは水平線、だれも知らない。
どんな理由さえはねのけてしまう強靭さで、だれもが弱り切ってゆく。
夏が過ぎ秋が終わろうとするときの、あのバッタに似た虫が、
いちどきりの跳躍を見せるように、あるいは。
ぼんやりと見えるだけの光、その光源を知ることさえ出来ない光があれば良い。
それだけで、きっと十分で、それだけで、すべてが上手くゆく。
「あまりに明るいのは苦手だよ」
彼が苦笑いした理由を想い出すように、陽が沈んでゆく、ここで、
だれかが並んで立ってくれるのを待っている。
そう言いたいような、夕暮れを過ごしていた。
夜の訪れは、いつだって残酷なほど早過ぎるだけだ。
2015-03-16 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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