空這う曇天のように

嘔吐感に満ちて曇天は、かすかな文様を描かずにはいられない。
遠くにまで拒絶した陽光を、さらに隠匿しながら地文を見下ろし、
やがて迎えねばならぬだろう天文の憂鬱さには死を以って対抗し、
今だけの感情をうねり描くほか、まるっきしの無力なのだ。

-感情、
 そう呼んでよいのだろうか、きみよ。
 情緒を捨てた冷たさの極だけを求め、その残り火だけで生きるきみよ。
 ここで私に代わりに、あの曇天を見て欲しい-

懐かしさを忘却だけが連れてくるように
捨象だけが愛を連れてくるだろう、
形象を知るものになら愛は与えない、
そして冷たい、寒い、冷たい、あまりにも冷たく寒い曇天の…

想いだせない夏の予感にだけすがりながら、
私の曇天は、それでも生きようとし続ける。
すべての愛、すべての憎悪を拒み、
ひたすらに嘔吐しながら、どこまでも
あまりに遠すぎる水平線、地平線、救済の、涯。
彼らの過酷さには絶え絶えに、曇天は、
透明な深紅を血に模して、空を這う。
2015-03-22 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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