蝶のような季節だろう

冬の光のなかに立ち上がる蝶のように、陽の光なら立つだろう。
君を迎えにくる誰かの足音のように、
いくつもの街の音、いく台もの街角を曲がりゆくササラ電車。
向こうから、遠くから、うんと向こうから-
冠雪を振り払って山が哭く、振り払われた冠雪を潜って鳥が飛ぶ。

いつでも季節は、そんな風にやってくる。
川が垂直に空を目指そうとし始めれば新しい季節になったし
君と流れた川さえ氷を解いたに違いなかった。
しかし だれも迎えになど来ないだろう。
迎えに来たら悲しいだろう。

ぼくらは柔らかな温もりに酔って霜を踏む
真夏の炎天下でアスファルトに足裏を焼いてしまうように。
遠くで白壁が叫ぶだろう。
その先に夕暮を見てしまって ぼくらは
腹を抱えて笑い転げてしまうだろう。

月が昇る、月が昇る、白い月が昇るんだよ、と
小さな小さなミソッカスがはしゃぐだろう。
疲れに疲れて山鳴りに抱かれ、山嵐にも抱かれ、
ぼくらは私を取り戻しながら一つのグラスの前に立つ。

グラスのなかで踊り続ける蝶を見ながら
惨めな感傷は遠くへ追いやり、
うんと想い切り、うんと楽しく一杯、一杯と
いつまでも、いつまでもやるのだろう。
2015-04-30 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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