五秒だけ、と

虹の色をひとつひとつ砕きながら汀の砂に帆を立て固めると、
遠くまでうねる波のひとつづつが消えてゆく。

想い出せる背中もあるじゃないかと想う背中が
さらに想い出されようとする背中に追いかけられる。
距離について語ることを止めようとするたびに遠ざかる、
哀しみは、あまりに距離に敏感である。

陽炎のように消えてゆくだけの恋人が
記憶されている間にさえ遠ざかってゆくというのに、
愛について語り続ける詩を信じることはできない。

乾いた波を湿気った風がさらってゆくよ-

詩碑のひとつひとつに刻み込まれる年月を
まるで月か陽の光かのように砕き割りながら、
五分で到着してしまう電車に乗車するのをためらって
別れる恋人を探している。

五秒だけ愛しあう恋人なら
どうにも探し出せそうにはないようだが、
必要なのは五秒だけの恋人だし、
帆を固めるためだけに架かる虹だけだった。
そうして唸れ、永訣の波よ、凍ったままに
凍った姿で留まる波よ、<吠える>のだ
2015-05-01 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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