迂回して戦争に

歩く君より早く流れてゆく雲の影を踏みながら
タンポポの和洋を言い当てていた。
ピカピカに光った線路を辿った先には深いトンネルが口開き、
そこから先の物語はだれも語りたがることがない。

トンネルのある山を迂回すれば、そこには海が広がっているけれど、
いくど行っても海は変ることがない荒波に覆われている。
葉の一枚も揺れない日ですら荒い波だ、
だれもが白波を見つめて長い砂浜を埋めつくし
悲しい戦いを想い出すまいと唇を噛んでいる。

手拭を姉さん被りにして老婆は微笑み、
山裾より広い畑のアチコチを耕し続けている。
兵隊さんの服を着たままの御爺さんは立ったまま、
ドラム缶の火が絶えないように見張り続け、
そこに行くと、いつも夜が訪れた。

タンポポの話をしようと想ったが、
トンネルの話もしようと想ったが、
みんなが話さないことは話せないし想い出せない。
空からは、いく人分もの目玉が落ちてきて
ぼくらは、その目玉を飴玉のように舐めながら、
あまりにも苦いので困っている。
2015-05-02 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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