バー・カウンターの孤独 -部分-

1.
私が一人の詩人と向き合うためには、
バー・カウンターの孤独が必要だ

2.
「読んでもらいたい」という想いや
「読んでもらえる」という幻想は恐ろしい。
「ただ書くこと」を取り戻さなくてはならない、
「書く理由」を私以外に渡してはならない。

3.
いつの間にやら家に飼い慣らされて
家の所有物になっちまって、どうしたもんかね
どうせなら旅の所有物にならねばなるまい
居所は俺を殺す、旅なら少しは生かす
旅する季節なら家のなかに入れなくてはならない
エアコンなんかで季節を殺すな、追い出すな!

4.
安逸はいつもここにある
それは深い悲しみだ
私たちは孤児であることを宣告され
彷徨うことだけを義務づけられる
孤児の宣言なら生誕のときに
あの激しい泣き声のなかに
その響きのなかに残してきた

6.
不安を口にするには私たちは
飼い慣らされ過ぎている
悲しみや憎しみの距離を
不安で隠してはいけない
哀しむもの憎しむものを
穢してはならない
不安するには私たちは
<貴族>に足りなさ過ぎる

7.
開拓もされぬうちに犯されて
怒りを知らぬうちに絶望に染まり
何を嘆くことが出来るのか
私には
私たちの祖国はない
いつでも祖国は疑うべき理由しか
与えてはくれない

8.
喪ってゆく
できることの一つひとつが、かつて
獲得してきたことだとは
信じがたいほどに膨大でなんとも愉快、
痛快なことではないか
俺は、まだ五十音すら覚えている
記憶とは、覚えているということは
なんとも怖ろしくおぞましいことだ

9.
氷が融ける
アルコールに溶ける
ジャズに溶ける
バーが溶ける
悲しんでは、いけない
悲しんでいる場合では、ない
2015-05-10 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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