雨の方向に逆らいながら一匹の猫を記憶する

もしも雨が降ったなら空が乾くだろう
だから雨は降らないままでいい
ほんとうなら理由なく、ただ雨は降らないままでいい
空は空を歩いていればいい、なんなら雲を引き連れて
空色の哀しみに染まる湖をまたいで
きっと一羽の鳥が飛ぶから
それは鳥の影、深く深く湖の底を翳らせる
深く沈んだ白骨が静かに笑う
想い出すのは古い屋根、わらぶき屋根
家族を持たないまま逝ってしまった彼の家
あるいは一匹の猫が横切るように眠っている
良家の奥様よろしく上品なしぐさで
時折は空を見上げることもある
空を見上げる猫なんて、彼の記憶のなかにしかいない
そういうことを含めても
雨は降らないままでいい
きみの知る空なら知らない街の上で光っている
ここには誰も知らない空
それだけを見上げる影がある

初出:note.mu(20150603)
2015-06-13 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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