空は時を刻めない、認めない、あるいはそんな風に言ったかもしれない

なんということもない空に時間がない
朝の空も昼の空も夕空も夜空も混じったままか
すべての空があって、すべての空がない
ただ少し疲れた風が吹き上げるだろう、
そんな気ならするだろう

少しの空間があれば息を吸い
少しの空間があれば息を吐きしながら
少しの空間が見つからない
溢れるように言葉が愛を壊してゆくように
溢れるように愛が言葉を壊してゆく

せわしいだけの商店街にはひとがいない
人影を投じない昼の街灯だけが夜を歩いている
あるいは、わずかな隙間から覗くようにしてだけ
痩せた黒い犬が這うように出てくるかもしれない
あるいはただ覗いた後に去ってゆく後姿があるかもしれない
どちらにしても、それだけで街灯も消えてしまうのだ
商店街も消滅してしまうのだ

「空がない、空がない」
はしゃぎながら公園に向かうこどもたちよ
きみたちに親がいないことを知らないきみたちよ
空にさえ見捨てられた公園になにがあるのか
「それは行ってみなければ分からない-」
老成したこどもがしたり顔にだれにともなく言いながら
ゆったりとした足取りでやはり公園に向かう

そうして始めて月とすれ違うくらいはできた
タイヤの軋む音も少しは遠くに想いだすこともできた
「酒がない、酒がない!」
「おお、それは大変なことだ、うんと大変なことだ」
星を拾いながら老婆が塔婆を背負い背負いして応えている
だれもかれもが酒もなく酔いしれているのだ

なるほど、それならさすがに空に時間があるわけもない

言葉だか愛だか分からない代物の欠片でも散って、
やはり時間のない空になるだけのことでしかない

初出:note.mu(20150605)
2015-06-15 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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