そのときだけは坂道を転がれないボール

振り返ったときだけ陽のあたる坂道を
いろいろな雨に打たれながら空気の抜けたボールが転がろうとしている
転がることさえできないまま下ろうとしているのか
上ろうとしていたことを忘れているだけではないのか
雨を避けて陽の当たる坂道を、もう振り返る勢いもなく
こどもたちも振り返ることなく
ああ、もうボールですらない、転がれないものは
もはやボールですらない、そう言うべきだろう
つぶれたままのボールが並ぶ、そんな坂道で
古老のように腰かけた黒い犬と黒い猫が
互いの名まえを覚えようとネームプレートを見つめている
すべてを無視して古いカートがひとりだけ
スルスルスルと坂道をわがもの顔に下り通り過ぎてゆく

初出:note.mu(20150606)
2015-06-16 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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